ひふのお悩み・医療レーザー脱毛・あざの治療
皮下にできる良性腫瘍で、皮膚の上皮(表皮や外毛根鞘)が皮内や皮下に袋状の構造を形成したもので、半球状の隆起として触れることが多いです。袋の内側が上皮ですので、本来は外に脱落するはずの角質(いわゆる垢)や皮脂が粥状の内容物として袋内に蓄積し、少しずつ大きくなっていきます。俗に『脂肪のかたまり』などといわれますが、実は脂肪組織ではなく、皮膚の老廃物のかたまりで、腫瘤の中央にしばしば見られる小さな黒っぽい開口部から、悪臭を伴う内容物がでてくることがあります。
身体のどこにでもでき、特に背中やうなじ、頬、耳たぶなどにできやすい傾向があります。
発生の原因は判らない場合が多いのですが、ケガや毛嚢炎、ニキビが原因で生じることがあります。
多くは放っておくと徐々に大きくなり、野球のボールほどになることもあります。また細菌感染を起こして急にその大きさを増し、赤く腫れて痛みを伴ったり、皮膚が破けて膿汁と臭い粥状の内容物が排出されたりします。
無理に圧迫して内容物や膿をだそうとすると、感染が周囲に拡大して重症化することがあるので、圧出することは避けて、医師の診察、処置を受けてください。
石灰化上皮腫 | : | 化膿することはなく皮膚との癒着は少ない |
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ガングリオン | : | 四肢など関節や筋の上に出来て穿刺すればゼリー状の液が貯留 |
脂腺嚢腫症 | : | 遺伝性でごく稀ですが少し黄色っぽく青年期以後の男性に多い |
類皮嚢腫(デルモイドシスト) | : | 胎生期の遺残物で目や鼻の周りなどの骨縫合部などに出来やすく、中に黄色の液体と毛など貯留 |
感染のない場合は手術で摘出します。腫瘍の直径にほぼ一致させた、開口部を含めた紡錘形皮膚切開から、皮膚と袋をひとまとめに摘出し、皮膚縫合をします。切開・縫合のデザインは傷跡がシワに沿うようにして、できるだけ目立たなくするように配慮します。
また、開口部を小さな切開でくり抜き、内容物を排出したあとに袋を引き出すようにして摘出する方法もあります。傷跡がニキビ跡のように小さく目立ちにくくなるため、顔などではしばしば用いられます。
感染のある場合、それが軽い場合は、抗生剤や抗炎症剤の投与で鎮静化させてから摘出します。感染が強く、多量の膿が貯留している場合は、切開・排膿して開放治療(軟膏治療)を行い、感染が治癒したあとに期間を置いて腫瘍を摘出します。
感染した場合は治療期間が長くなり、キズ跡も劣る傾向にありますから、できるだけ感染を起こす前に摘出することが望ましいです。
また、腫瘤が大きくならないうちに治療したほうが傷跡も小さく目立ちにくいですので、早めに形成外科を受診することをお勧めします。
擦り傷や切り傷などの外傷ややけど(熱傷)、またニキビや手術による傷が治ると、傷跡が残ることがあります。一般的に深い傷ほど目立つ傷跡となり、整容的に問題となります。浅い傷でも面積が広いとやはり目立つ傷跡になる場合があります。
傷跡と一言でいっても、それにはいくつかの種類があります。
傷は炎症とともに治っていきますので、最初は赤くて痛い傷が、時間が経つにつれ肌色や白色に近づいていくのが普通の経過で、このようにして残った傷跡を「成熟瘢痕」といいます。
普通の皮膚とは質感が異なり、単に見た目が問題となる場合が多いものです。これらは見た目の問題であるため、健康保険を適用して治療できないものが多くなります(適用については医師とご相談ください)。
また跡形無く傷跡が消えてしまうと言うことではありませんので、治療にあたっては医師とよく御相談の上、その効果や限界についてご理解頂くことが必要です。
傷ができてからしばらくの間、傷が赤くみみずばれのように盛り上がることがあります。これを「肥厚性瘢痕」といいます。深い傷は肥厚性瘢痕となることが多いですし、傷が関節や首など、体が動くと引っ張られる場所にできると、ほとんどの傷が肥厚性瘢痕となります。胸やお腹の手術後の傷跡は、肥厚性瘢痕になりやすいことが知られています。肥厚性瘢痕は炎症がなかなか引かない傷跡、と考えるとよろしいかと思います。関節の傷はいつでも引っ張られますので、炎症がその都度おこり、なかなか炎症が引きません。完全に炎症が引くまで、1年から5年くらいかかることもあります。
傷跡には、肥厚性瘢痕よりも炎症が強いものがあり、それを「ケロイド」といいます。ケロイドの発症には「ケロイド体質」が大きく、遺伝することもあり、その原因などは様々です。このようなケロイドでも最近では治療できるようになりました。
肥厚性瘢痕・ケロイドの治療は、保存的治療が第一です。具体的な保存的治療は下記に示しますが、単独ではなく複数を組み合わせて行うことが多いです。
テープ、スポンジ、サポーター、シリコンゲルシート、コルセットなどによる圧迫をおこなうことで固定と安静患部の安静を保ちます。
ステロイド剤の入ったテープや、ステロイド剤軟膏を使用します。保湿を目的として、水分不透過性絆創膏を貼ります。
ステロイド剤をケロイドに直接注射する方法です。
抗アレルギー剤が、かゆみなどの症状に効果が認められることがあります。
血管の数を減らすレーザーが有効とされていますが、現在では健康保険を適用しての治療はできません。
液体窒素を使った治療法など、種々の治療法が報告されています。
肥厚性瘢痕やケロイドは、手術しない方法で軽快する場合も多いですが、ひきつれ(瘢痕拘縮)の原因になったり、目立つ場所で醜状が問題となれば、手術の適応となります。しかし、今までは炎症の強いケロイドに関しては安易に手術してはならないとされてきました。なぜならば、ケロイドは再発しやすいため、単に手術するだけでは前より大きなものになってしまうことがあるためです。今でもそのような考えの医師は多いですが、形成外科では、できる限り再発しないような縫い方の工夫をし、さらに術後の放射線治療を行って、再発をおさえることができるようになりました。
しかし、跡形無く傷跡が消えてしまうと言うことではありませんので、治療にあたっては医師とよく御相談の上、その効果や限界についてご理解頂くことが必要です。
ケロイドの術後に放射線治療を行うことで、手術後の傷が肥厚性瘢痕やケロイドになることを予防する効果があります。しかし、副作用として周囲の正常皮膚への障害を考えねばならず、将来的にわずかながらその部位の発がんのリスクが増える可能性は否定できません。しかし、最近のケロイド治療における放射線治療では、線量や照射方法が改善されていますので、発がんのリスクは最小限に抑えることができています。
瘢痕拘縮とは、傷あとが引きつれて思うように関節などを動かせなくなる状態を言います。瘢痕拘縮は、肥厚性瘢痕やケロイドが関節部や首など皮膚が引っ張られる場所にできた場合に、治療しないで放っておいた場合、また効果の少ない治療を続けた結果、引きつれができてしまった状態です。瘢痕拘縮を生じてしまうと、柔らかくなるまで相当な時間がかかります。まだ炎症が引き切らない状態で引きつれたもの、炎症は軽減したが引きつれだけが残っているもの、などがあります。
病理学的には肥厚性瘢痕と同じようなものであり、炎症が長く続いた結果、硬い線維が蓄積したものです。指の関節、肘や手首、膝や足首、また首やわきが好発部位となります。これらの場所にやけどやけがをしてしまった場合は要注意です。早期に適切な治療を行う必要があります。
瘢痕拘縮を生じてしまうと、柔らかくなるまで相当な時間がかかりますので、手術をすることも考えねばなりません。早めに効果的な治療を行っていくことが大切です。
軽度の引きつれであれば、ステロイドのテープや注射で改善させることが可能です。
「瘢痕拘縮」は、関節部や首など皮膚が引っ張られる場所にできるので、引っ張られる方向に力がかからないように、向きを変えたり、ジグザグに縫ったりして引きつれを解除します(瘢痕拘縮形成術)。時には近くの皮膚をパズルのように切って組み合わせる、局所皮弁術が用いられることもあります。
眼瞼下垂症とは、上まぶたが十分に上がらない状態のことです。まぶたは上眼瞼挙筋やミュラー筋と呼ばれる筋肉が、瞼板と呼ばれるまぶたの芯となる構造を引っ張り上げることで開きます。筋肉と瞼板は、腱膜という組織で繋がっています。この腱膜が加齢によりたるんでくると筋肉の力が瞼板に効果的に伝わらず、まぶたが上がりにくくなってしまいます。ほとんどの加齢性眼瞼下垂症はこのようにして生じます。また皮膚のたるみや筋肉の衰えも、加齢性眼瞼下垂症の原因となります。これにより物が見えにくくなり、眠そうな印象を与えます。また、おでこの筋肉(前頭筋)を利用してまぶたを上げようとするためまゆ毛の位置が高くなり、額のしわが目立つようになります。頭痛、肩こりの原因になることもあります。
余剰(弛緩)して垂れさがった上眼瞼皮膚を切除する方法です。上眼瞼皮膚を切除する場合と、眉毛下で皮膚を切除する場合があります。立った、あるいは座った状態で余っている皮膚を取り除く量を決めて切除します。同じ部位の眼輪筋も切除することがあります。その後は細い糸できれいに縫合閉鎖します。睫毛を押し下げる余った皮膚がなくなるので目を開くのが楽になります。
腱膜を瞼板に縫い付ける手術です。上まぶたの皮膚を切開し、たるんだ腱膜や筋肉を前方に引っ張り、糸で瞼板に縫い付けます。この手術により腱膜のたるみが改善し、上眼瞼挙筋肉の力がしっかりと瞼板に伝わり、十分にまぶたが開くようになります。
加齢性眼瞼下垂の治療により、十分にまぶたが開くようになるため視野がよくなります。またおでこの筋肉を利用してまぶたを上げようとしていた方は、頭痛や肩こりがよくなることが期待されます。
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